ケーソン工法とは、建設工事に用いられる基礎工法のひとつです。
ケーソンと呼ばれる箱型構造物を所定の支持地盤まで沈設し、基礎や地下構造物を構築します。
ちなみに基礎工法をざっくり分けると、浅い基礎(直接基礎)と深い基礎(杭やケーソンなど)に分けられ、さらに細かく分類すると以下の表のようになります。
基礎工法の内容として、場所打ち杭や既製杭については別記事で併せてご確認ください。
浅い基礎 | 直接基礎 | 現地盤そのまま利用
地盤改良 安定処理 軟弱地盤工法 |
深い基礎 | 杭基礎 | ①既製杭基礎(木杭、RC杭、鋼杭、PHC杭、SC杭)
②場所打ち杭基礎 1)人力・機械掘削 深礎工法 2)機械掘削
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ケーソン基礎 |
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特殊基礎 |
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この記事では、ケーソン基礎の工法や種類・特徴などについてまとめています。
該当する方はそのままお進みください 😀
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から確認してください。
ケーソン基礎工法とは?特徴や施工手順わかりやすく解説
ケーソン基礎工法の種類は主に、
ケーソン基礎工法
- オープンケーソン工法
- ニューマチックケーソン工法
- 設置ケーソン工法
の3種類です。
ケーソン基礎工法①オープンケーソン工法
オープンケーソン工法は、刃口の据付⇒躯体の構築⇒掘削⇒沈下の順で作業が進められます。
オープンケーソン工法の手順
- 準備工
- 刃口部構築
- 躯体構築
- 掘削・沈下
- 支持力確認
- 中埋めコンクリート
- 中埋め材充てん
- 頂版コンクリート
オープンケーソン工法の掘削方法は、陸掘りと水中堀りの2種類あり、陸掘りのときは、きほん地下水がない場合に行います 🙂
また、オープンケーソン工法はケーソン底部でかんたんに傾斜修正作業ができません。
そのためケーソン沈設位置は、土圧を受けやすい場所は避けるようにしてください。
ちなみにオープンケーソンの傾斜や移動の修正は、根入れが10m以上となるとむずかしくなるので、沈設初期におけるケーソンの挙動観測は常時おこなうようにしましょう。
ケーソン基礎工法②ニューマチックケーソン工法
ニューマチックケーソン工法は、
工法の手順
- 刃口の据付
- 作業室の構築
- オープン掘削と第二ロッド構築
- エアロック、シャフトの装着
- 掘削
- 沈下
- 載荷試験
- 作業室内の底詰めコンクリートの打設
- エアロック、シャフトの撤去
の順に行います。
ニューマチックケーソン工法は作業室があるため、地盤確認しながら作業できるのと、計画的に工事を進められるのがポイントです。
しかし高気圧下の作業になるので、ホスピタルロックの設置など、労働安全衛生管理に十分気をつける必要があります。
ニューマチックケーソンの据付方法は以下の3種類です。
陸上据付け工法 | 据付地盤は地下水の影響を受けない高さ
表土の置換と不陸整正をおこなって、ケーソンの不等沈下や傾斜が生じないようにする |
築島据付け工法 | 地盤がケーソンや築島の重量を安全に支持できるかどうかが条件のひとつ
障害物や転石は除去し、既存の地盤が軟弱である場合は、良質な土砂に置換する |
水中据付け工法 | 鋼製などの浮ケーソン(フローティングケーソン)を沈設現場までえい航してコンクリートを打ち込み、定位置に沈殿する
安定した築島の施工が期待できない場合や、築島据付け工法にくらべて経済的である場合に採用される |
また作業室は、連続してコンクリートを打ち込み刃口と作業室天井スラブ部を一体構造とし、水密かつ気密な構造としてください。
各部の脱型時期は以下の表のとおりです。
部材種別 | 例 | 脱型時期の標準 |
作業室部 | 刃口
天井スラブ 作業室 側壁や隔壁などを吊り上げた部分 |
圧密強度14N/mm²かつ打ち込み後3日 |
本体および躯体接続部 | 天井スラブより上部の本体部
最上部の躯体との接続部 仮壁 |
圧密強度10N/mm²かつ打ち込み後3日 |
そして、中埋めコンクリートは作業に適するワーカビリティーにすぐれたものを使いましょう。
一般的にスランプは15~20㎝くらいです。
また粗骨材は、ブローパイプから排気のときにグランドコックに詰らないよう、最大寸法25mmくらいのものが用いられます。
いっぽうで、
- マテリアルロック:圧気掘削場所へ材料を搬入するための気密扉
- シャフト:機械などの動力伝達用の回転軸
- 送気管
- 排気管
- 配線管
などの装置を設備する作業のことを艤装(ぎそう)といいます。
マテリアルロックはつねに水面以上にあるように、シャフトの継ぎ足しをおこなわなければいけません。
シャフトの継ぎ足し作業のときは、ボトムドアを作業室天井にとりつけて、作業室内の圧力が低下しないようにしてください。
ちなみにマテリアルロック用のシャフト本数は、ケーソン底面積50~60㎡に1本が標準です。
ケーソン基礎工法③設置ケーソン工法
設置ケーソン工法は、主に海中での施工です。
きほん、信頼できる支持地盤が海底より比較的浅い場合で、水深の大きい場所に基礎を設置するときに用いられますよ 😉
海底を支持地盤まで掘削します。
そして陸上で鋼製の箱(ケーソン)を製作し、海をわたって現地へ運び海底に沈めたあと、内部にコンクリートを打設します。
施工例としては、
- 瀬戸大橋
- 明石海峡大橋
などがあります。
施工順序はこんな感じ 😛
設置ケーソン工法
- 水中発破(海中掘削)
- グラブ掘削(海中掘削)
- 底面仕上げ(海中掘削)
- ケーソンの製作と沈設
- 骨材投入(海中コンクリート)
- モルタル投入(海中コンクリート)
ケーソン基礎工法!オープンケーソンやニューマチックケーソンなどの違い
紹介した3つのケーソン基礎工法のちがいをまとめるとこんな感じです 😎
オープンケーソン工法 | ニューマチックケーソン工法 | 設置ケーソン工法 | |
掘削方法 | バケットなどの掘削機械 | 圧縮空気で水を排除
人力または機械掘削 |
海中掘削 |
施工順序 |
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地盤への影響 | 地下水位の低下させ、地盤をゆるめることが多い | 地下水の低下などはない
周辺地盤をゆるめることは少ない |
海中 |
施工深さ | 60mくらいまで
(摩擦をへらせた場合) |
30mくらいまで | 海中水深50mくらい
潮流5.5kt |
地盤確認 | 水中作業となり、確認がむずかしい | 作業室内で直接支持層を確認できる
載荷試験も可能 |
海中であるため調査がむずかしい |
機械設備 | 比較的かんたん
工費が安い |
機械設備は大掛かり
工費が高い |
規模が大きい
工費が高い |
工期
(障害物除去) |
工期は不安定
(沈下途中に障害物がでると手間取る) |
工期安定
沈下は計画的で、障害物除去もかんたん |
工期安定
沈下は計画的で、障害物除去もかんたん |
公害問題 | 市街地施工に適する
(騒音・振動源なし) |
市街地施工に適さない
(コンプレッサーやエアロックなどの騒音あり) |
なし
(海中のため周囲に影響なし) |
工事の確実性 | なし
(水中掘削であるため手探り作業) |
あり
(作業室があり、排水しながら作業できる) |
あり
(海の状況もあるがきほん安定) |
地盤や現場の状況に応じて、いちばん最適な工法をえらぶようにしましょう。
ケーソン基礎工法とは?特徴や施工手順わかりやすく解説まとめ
ケーソン工法とは、建設工事に用いられる基礎工法のひとつ
ケーソンと呼ばれる箱型構造物を所定の支持地盤まで沈設し、基礎や地下構造物を構築する
ケーソン基礎工法の種類
- オープンケーソン工法
- ニューマチックケーソン工法
- 設置ケーソン工法
オープンケーソン工法 | ニューマチックケーソン工法 | 設置ケーソン工法 |
①準備工 ②刃口部構築 ③躯体構築 ④掘削・沈下 ④支持力確認 ⑤中埋めコンクリート ⑥中埋め材充てん ⑦頂版コンクリート |
①刃口の据付 ②作業室の構築 ③オープン掘削と第二ロッド構築 ④エアロック、シャフトの装着 ⑤掘削 ⑥沈下 ⑦載荷試験 ⑧作業室内の底詰めコンクリートの打設 ⑨エアロック、シャフトの撤去 |
①水中発破(海中掘削) ②グラブ掘削(海中掘削) ③底面仕上げ(海中掘削) ④ケーソンの製作と沈設 ⑤骨材投入(海中コンクリート) ⑥モルタル投入(海中コンクリート) |
バケットなどの掘削機械 | 圧縮空気で水を排除
人力または機械掘削 |
海中掘削 |
以上です。
ありがとうございました。