橋の構造を理解するうえで、「橋脚」「橋台」「桁」などの部位名称は重要な基礎知識です。
しかし、それぞれの役割や違いが分かりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、**橋脚とは何かを中心に、橋台との違いや橋の構造(各部位の名称)**について、図解を使いながらわかりやすく解説します。
土木の基礎知識として知っておきたいポイントをまとめましたので、橋の構造を体系的に理解したい方はぜひ参考にしてください。
ポイント
橋脚とは何か?橋台との違いは?
橋脚とは?橋を支える構造物の役割
橋脚とは、橋を支える縦方向の柱状の構造物のことです。
橋の「脚(あし)」にあたる部分で、橋桁(きょうげた)を支え、荷重を地盤へ伝える役割を持ちます。
橋脚の役割
橋脚の役割は以下の通り。
- 橋桁や車両の荷重を支える
- 荷重を地盤へ安全に伝える
- 橋の安定性を確保する
- 河川や道路をまたぐための高さを確保する
橋脚がしっかりしていないと、橋全体の安全性が保てません。
橋脚の構造
橋脚は大きく次の2つで構成されます。
| 部位 | 説明 |
|---|---|
| 上部構造(柱部分) | 橋桁を支える柱。鉄筋コンクリートや鋼製が多い。 |
| 基礎(地中部分) | 荷重を地盤に伝える。杭基礎・直接基礎などがある。 |
橋脚の種類
形状は壁のように広い面で支える壁式橋脚や、複数の柱で構成される柱式橋脚などがあり、橋の規模や周辺環境に応じて使い分けられています。
橋の安全性と耐久性を左右する、橋梁構造の中でも最も重要な要素のひとつです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 壁式橋脚 | 壁のように広い面で支える。安定性が高い。 |
| 柱式橋脚 | 複数の柱で支える。景観が良く、都市部で多い。 |
| ラーメン橋脚 | 柱と梁が一体化した構造。耐震性が高い。 |
橋台とは?橋脚との違いをわかりやすく解説
橋台(きょうだい)とは、橋の両端に設置される“橋を支える土台”の構造物です。
橋桁(きょうげた)を支えるだけでなく、道路や盛土(アプローチ部)を受け止める役割も持っています。
橋の「端っこ」を支えるのが橋台、と覚えるとわかりやすいです。
そして橋台と橋脚の違いはこちらです。
| 項目 | 橋台 | 橋脚 |
|---|---|---|
| 位置 | 橋の両端 | 橋の途中(中央部) |
| 役割 | 橋桁+道路の盛土を支える | 橋桁を支える柱 |
| 形状 | 大きくて重厚、壁状が多い | 柱状(1本〜複数) |
| 別名 | アバットメント | ピア |
橋台は、橋の端部で橋と地面をつなぐ“玄関”のような存在です。
橋脚が橋の途中を支える“柱”だとすれば、橋台は橋の終点をがっしり固定する基礎構造です。
橋台がしっかりしていないと、
- 橋の端が沈む
- 道路との段差ができる
- 地震時に橋がずれる
といった問題が起きるため、橋梁の安全性に欠かせない重要な構造物です。
橋梁の主な部位名称一覧(上部構造・下部構造)
橋梁の主な部材・部位名称一覧をまとめました。
| 橋梁構造(構成)の名称・部位 | 意味 |
| 上部工 | 道路、鉄道、水路などの輸送路の通過荷重を直接支持する |
| 下部工 | 上部構造を支える部分。橋台(アバット)、橋脚(ピア)および基礎からなる |
| 主桁 | 橋台または橋脚間で、上部構造全体の荷重を支持して下部構造に伝える桁
断面形状によりI桁と箱桁 材料により鋼桁、鉄筋コンクリート桁、PC(プレストレストコンクリート)桁などがある |
| 橋長 | 橋台のパラペット前面間のキョリ |
| 支間 | 支承中心間のキョリ |
| 径間 | 橋台あるいは橋脚の前面間のキョリ |
| 桁下高 | 上部の下部に確保される空間の高さ |
| 橋脚(ピア) | 橋のあいだを支える柱のことで、ピアとも呼ばれる
基礎の工法や直接基礎、井筒基礎などがある |
| 橋台(アバット) | 橋の両端(はじまりと終わり)を支える台
アバットとも呼ばれる |
| 躯体 | 橋台、橋脚において上部工を支えている本体部分を指す |
| パラペット | 橋台において躯体より上の部分に突出した部分
上部構造と一般部を仕切っており、胸壁とも呼ばれる |
| 杭基礎 | 杭を用いた基礎で、軟弱な地盤などで施工される |
| ケーソン基礎 | ケーソンとは鉄筋コンクリートなどでできた箱のこと。
大きな荷重を受ける場合やほかの工法では施工が難しい場合などに用いられる |
| 支承 | 上部構造と下部構造との間に設置される部材で、上部構造の荷重を下部構造に伝達するための機能をもつ |
| 固定支承 | 上部構造の回転は自由
一方で水平移動に対しては拘束する機能を有する支承のこと |
| 可動支承 | 上部構造を支持し下部構造に支持力を伝える構造部分のうち、回転以外に変位も妨げないようにした支持構造
一般的には特定の方向にのみ可動 |
| 伸縮装置 | 橋梁の端部においてその伸縮を可能なように路面に設ける装置 |
橋梁の名称や部位➀上部工・上部構造と下部工・下部構造
上部工・上部構造とは、橋梁のうち、橋台・橋脚の上に設けられる部分のを指します。
道路、鉄道、水路などの輸送路の通過荷重を直接支持します。
また下部工・下部構造は、上部構造を支える部分です。
橋台(アバット)、橋脚(ピア)および基礎から構成されます。
橋梁の名称や部位②主桁や桁下高
主桁は、橋台または橋脚間で、上部構造全体の荷重を支持して下部構造に伝える桁(けた)のこと。
断面形状によりI桁と箱桁などの種類があります。
材料の種類は、鋼桁、鉄筋コンクリート桁、PC(プレストレストコンクリート)桁などです。
また桁下高とは、橋梁の桁の下部に確保される空間の高さのことです。
橋梁の名称や部位③橋脚(ピア)と橋台(アバット)
橋脚とは、橋のあいだを支える柱のことで、ピアとも呼ばれます。
また、橋脚に使用される基礎構造の名称と定義は以下のとおり!
橋脚(ピア)に使用される基礎構造の名称
| 直接基礎 | 硬い地盤をそのまま使用できる場合に採用される基礎のこと |
| 井筒基礎 | 地中深く設置した鋼管矢板や鋼管杭で地盤を囲って締切り、その中にコンクリートを充填して構築する基礎のこと |
| 杭基礎 | 杭を用いた基礎で、軟弱な地盤などで施工される |
| ケーソン基礎 | ケーソンとは鉄筋コンクリートなどでできた箱のこと。
大きな荷重を受ける場合やほかの工法では施工が難しい場合などに用いられる |
一方、橋梁におけるアバット(abutment)とは、橋の両端に設けられる構造物で、日本語では「橋台」と呼ばれます。
アバットは橋桁などの上部構造を支え、その荷重を地盤へ確実に伝える役割を担っており、また、橋と接続する道路の盛土を保持し、段差や沈下を防ぐことで、道路と橋梁を滑らかに接続する重要な機能も果たします。
さらに、地震や風、車両の通行によって生じる外力に対して橋全体を安定させるための基礎的な構造でもあります。
橋の途中で桁を支える橋脚(ピア)とは異なり、アバットは橋の端部に位置し、橋梁と周囲の地盤をつなぐ要となっています。
橋梁の名称や部位④躯体・パラペット
躯体は、橋台、橋脚において上部工を支えている本体部分を指します。
またパラペットは橋台において躯体より上の部分に突出した部分
橋梁の上部構造と一般部を仕切っており、胸壁とも呼ばれます。
橋梁の名称や部位⑤支承・伸縮装置
支承とは、上部構造と下部構造との間に設置される部材で、上部構造の荷重を下部構造に伝達するための機能をもち、固定支承と可動支承の2種類に分けられます。
ポイント
【固定支承】
上部構造の回転は自由
一方で水平移動に対しては拘束する機能を有する支承のこと
ポイント
【可動支承】
上部構造を支持し下部構造に支持力を伝える構造部分のうち、回転以外に変位も妨げないようにした支持構造
一般的には特定の方向にのみ可動
また伸縮装置は、橋梁の端部においてその伸縮を可能なように路面に設ける装置のことです。
橋梁の名称や部位⑥橋長
橋長は橋台のパラペット前面間の長さを指します。
橋梁の名称や部位⑦支間・支間長と径間・径間長
「径間(けいかん)」とは、橋梁や構造物において支点と支点の間の距離を指す言葉です。
もう少し具体的に言うと
- 橋脚や橋台の中心から中心までの距離を「径間長」と呼びます。
- この距離は、橋の設計や構造計算において非常に重要な要素です。
- 英語では「span(スパン)」とも言われます。
また「支間長(しかんちょう)」は橋の支承(ししょう)と呼ばれる支えの間の距離を指します。
用途や計測基準が少し異なるので、図面を読むときには注意が必要です。
橋梁関連の用語も併せてチェックしておくとよいでしょう。
橋脚の構造と主な種類(壁式橋脚・ラーメン橋脚など)
橋梁の構造形式は力学的に、
- 曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造
- 軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造
の2つに大きく分けられます。
橋の種類をまとめるとこんな感じ 🙂
| 曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造 | 軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造 |
|
|
曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材名称と構造・部位
| 床版橋
|
<床版橋>
鉄筋コンクリート造の床版(スラブ)を使用した、もっとも単純な構造の橋 小規模はものが多く、現場打ち・二次製品などが使われる |
| 単純桁橋
|
<桁橋>
木桁、RC桁、PC桁、鋼桁などを並べたもの 実績が多く、よく使われる構造 1本の桁を両端2点で支えるものを単純桁橋、3点以上で支えるものを連続桁橋という |
| 連続桁橋
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|
| ゲルバー橋
|
<ゲルバー橋>
連続桁橋の途中に、ヒンジ構造の継目がある橋 地盤沈下の影響が少ないことが特徴 |
| ラーメン橋(門形)
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<ラーメン橋(門形)>
主桁、橋脚、橋台などが一体となって外力に抵抗する橋 このほか、π型、函型などがある
|
| ラーメン橋(π型)
|
<ラーメン橋(π型)>
主桁、橋脚、橋台などが一体となって外力に抵抗する橋 このほか、門形、函型などがある |
軸力の引張・圧縮に抵抗する部材名称と構造・部位
| トラス橋
三角に組み合わされた構造 応力が分散するため、スパンの長い橋に適している |
|
| アーチ橋
主桁がアーチ状で、両端で支える橋 |
|
| タイドアーチ橋
アーチの両端に作用する水平力を、タイと呼ばれる水平材で受けもつ構造 |
|
| ランガ―橋
軸方向圧縮力はアーチリブで受けもち、 曲げモーメントやせん断力は、補剛桁、補剛トラスでうけもつ構造 |
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| ローゼ橋
曲げモーメント、せん断力をアーチリブと桁の両方で受けもつ構造 |
|
| 吊り橋
ケーブルを主塔間に凹状に張り、橋体を吊るした橋で、長大橋に適している構造 |
|
| 斜張橋
橋脚上に設置した主塔から斜めにケーブルを張り、橋桁を支える構造 景観的にも美しい |
橋梁の路面位置による種類と構造
橋は路面の位置によっても分けることができます。
種類をまとめたものは以下のとおりです。
| 路面位置による
橋の分類 |
橋の構造 |
| 上路橋
路面が主桁・主構の上方にある橋 |
|
| 中路橋
路面が主桁の中間部にある橋 |
|
| 下路橋
路面が主桁の下方にある橋 |
|
| 二層橋
路面が上下二層になっている橋 |
橋梁の部材名称や部位・構造など種類まとめ
一般的な橋梁構造の名称・部位
| 橋梁構造(構成)の名称・部位 | 意味 |
| 上部工 | 道路、鉄道、水路などの輸送路の通過荷重を直接支持する |
| 下部工 | 上部構造を支える部分。橋台(アバット)、橋脚(ピア)および基礎からなる |
| 主桁 | 橋台または橋脚間で、上部構造全体の荷重を支持して下部構造に伝える桁
断面形状によりI桁と箱桁 材料により鋼桁、鉄筋コンクリート桁、PC(プレストレストコンクリート)桁などがある |
| 橋長 | 橋台のパラペット前面間のキョリ |
| 支間 | 支承中心間のキョリ |
| 径間 | 橋台あるいは橋脚の前面間のキョリ |
| 桁下高 | 上部の下部に確保される空間の高さ |
| 橋脚(ピア) | 橋のあいだを支える柱のことで、ピアとも呼ばれる
基礎の工法や直接基礎、井筒基礎などがある |
| 橋台(アバット) | 橋の両端(はじまりと終わり)を支える台
アバットとも呼ばれる |
| 躯体 | 橋台、橋脚において上部工を支えている本体部分を指す |
| パラペット | 橋台において躯体より上の部分に突出した部分
上部構造と一般部を仕切っており、胸壁とも呼ばれる |
| 杭基礎 | 杭を用いた基礎で、軟弱な地盤などで施工される |
| ケーソン基礎 | ケーソンとは鉄筋コンクリートなどでできた箱のこと。
大きな荷重を受ける場合やほかの工法では施工が難しい場合などに用いられる |
| 支承 | 上部構造と下部構造との間に設置される部材で、上部構造の荷重を下部構造に伝達するための機能をもつ |
| 固定支承 | 上部構造の回転は自由
一方で水平移動に対しては拘束する機能を有する支承のこと |
| 可動支承 | 上部構造を支持し下部構造に支持力を伝える構造部分のうち、回転以外に変位も妨げないようにした支持構造
一般的には特定の方向にのみ可動 |
| 伸縮装置 | 橋梁の端部においてその伸縮を可能なように路面に設ける装置 |
橋の力学的分類と名称・部位
| 曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造 | 軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造 |
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橋の種類や名称
| 路面位置別 | 用途別 | 材料別 |
| 上路橋
中路橋 下路橋 二層橋 |
道路橋
鉄道橋 水路橋 併設橋 |
木橋
石橋(レンガ) 鋼橋 コンクリート |
今回は以上です。
ありがとうございました。