こんにちは、1級土木施工管理技士のちゃんさとです。
こんなお悩みを解決します。
そしてこの記事では、オールケーシング工法とアースドリル工法の違いのほか、それぞれの掘削機や特徴についてくわしく解説していきます。
🐾この記事を書いている人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国公立大学の土木工学科卒業
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間はたらいた経験を持つ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士の資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信をしています。
それではさっそく参りましょう、ラインナップはこちらです。
オールケーシング工法とアースドリル工法の違いとは?施工手順や掘削機・特徴も
オールケーシング工法とアースドリル工法は、機械掘削による場所打ち杭工法のひとつです。
場所打ち杭工法の機械掘削によるかんたんな施工手順は以下のとおり。
- 掘削(孔壁の保護が必要)
- 孔底のスライム処理
- 鉄筋カゴの建て込み
- コンクリートの打設
- 養生
- 杭頭の処理
さらに場所打ち杭工法の種類について知りたい方は、別記事でご確認ください。
オールケーシング工法とアースドリル工法の違いとは?
オールケーシング工法とアースドリル工法のちがいは、孔壁(掘った穴)が崩れる心配があるかどうかです。
オールケーシング工法では、掘削孔全長にわたりケーシングチューブを使っているため、孔壁崩壊の心配はほとんどありません。
掘ったら掘っただけパイプを足していきます。
いっぽうでアースドリル工法ではスタンドパイプと言って、施工基面付近(地表付近)にしかパイプを入れません。
安定液(ベントナイト)などをつかって孔壁崩壊を防いでいるため、安定液の管理に失敗してしまうと孔壁が崩れる可能性があります。
ちがいを表にまとめるとこんな感じです。
ちがい | オールケーシング工法 | アースドリル工法 |
概要 | ①杭の全長にわたりケーシングチューブを揺動・圧入し、地盤の崩壊を防ぎながらハンマグラブで掘削・排土する工法
②掘削後に鉄筋かごを建込み、ケーシングを引き抜きながらコンクリートを打設 |
①ドリリングバケットを回転させ、掘削・排土する工法
②掘削後に鉄筋かごを建込み、コンクリートを打設 ③表層の崩壊防止のためケーシングチューブを設置し、それ以深は必要に応じて安定液を使う |
メリット | ①ケーシングチューブを使用するため、孔壁崩壊防止が確実
②ほとんどの土質で施工可能 ③排土の含水比が小さく、残土処理が比較的かんたん |
地下水のない粘性土で、素掘り可能な場合は他の工法より適している
設備が比較的かんたんで済み、施工速度・工費の面で有利 |
デメリット | ①ハンマグラブによる騒音や振動が発生
②厚い砂層では、ケーシングチューブの揺動、引抜きがむずかしい ③被圧水位が地表面より高い場合は施工不可能 ④機械の重量が大きく、ケーシングチューブ引抜き時の反力が大きい |
①ケリーバーの長さに限度があり、長い杭には不向き
②被圧水位が地表面より高かったり、伏流水のある場合は施工がむずかしい ③廃泥土の処理がややむずかしい |
オールケーシング工法とアースドリル工法の掘削機とは?
オールケーシング掘削機
オールケーシング掘削機の大きな特徴は、掘削孔全長にわたりケーシングチューブがあることです。
チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入または、回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこないます。
アースドリル掘削機
アースドリル掘削機の大きな特徴は、ドリリングバケットといわれる底開きのバケットを使うことです。
ドリリングバケットの底に歯(金具)がついており、その歯を回転させて土をけずりとります。
オールケーシング工法の施工手順や特徴
オールケーシング工法の留意点や特徴は以下のとおりです。
- チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧または回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこなう
- ケーシングチューブは二重管を使うことを原則とする
- やむを得ず一重管を使う場合は、作業時の状況に十分耐えうる安全性と剛性があるものをえらぶ
- 最初にセットするケーシングチューブ(ファーストチューブ)は、鉛直度を決める重要な要因となるので、短尺ものは使わないほうがよい
- ケーシングチューブは、コンクリートの打ち込みにともない引き抜く
- ケーシングで孔壁を保護するので崩壊のおそれはないが、玉石や大レキがあると押し込みが困難になる場合がある
- 地下水下に細砂層が厚く5m以上堆積していると、ケーシングが揺動作用によって水締めされて、引き抜きが不能になる可能性が高い
- 機械が大型で揺動のための反力が必要になるため、水上での作業には適さない
アースドリル工法の施工手順や特徴
アースドリル工法の留意点や特徴は以下のとおりです。
- 素掘りの可能な場合をのぞき、掘削孔には安定液(ベントナイト)などを使った泥水をはって、泥水圧で押さえて孔壁にできるマッドケーキで保護する
- 地表から浅い部分の崩壊のおそれのある地層に対しては表層ケーシング(2~4m)を挿入する
- ドリリングバケットと呼ばれる底開きのバケットの底に、歯のついたものを回転させて土を削りとる
- 機械の取り扱いがかんたんで掘削速度も速いが、孔壁の保護が安定液にたよるため、安定液の管理がかなり重要である
- 掘削が深くなると、バケットの上下距離が大きくなって能率が低下する
オールケーシング工法とアースドリル工法の違いとは?施工手順や掘削機・特徴もまとめ
オールケーシング工法とアースドリル工法のちがいは、孔壁(掘った穴)が崩れる心配があるかどうか
- オールケーシング工法では掘削孔全長にわたりケーシングチューブがあるため孔壁が崩れる心配なし
- アースドリル工法は安定液(ベントナイト)などを使った泥水を張り、泥水圧でマッドケーキをつくり孔壁を保護しているため、安定液の管理に失敗すると孔壁が崩れる心配あり
オールケーシング工法 | アースドリル工法 | |
掘削機 | ||
工法 | ||
概要 | 杭の全長にわたりケーシングチューブを揺動・圧入し、地盤の崩壊を防ぎながらハンマグラブで掘削・排土する工法
掘削後に鉄筋かごを建込み、ケーシングを引き抜きながらコンクリートを打設 |
ドリリングバケットを回転させ、掘削・排土する工法
掘削後に鉄筋かごを建込み、コンクリートを打設 表層の崩壊防止のためケーシングチューブを設置し、それ以深は必要に応じて安定液を使う |
メリット | ケーシングチューブを使用するため、孔壁崩壊防止が確実ほとんどの土質で施工可能
排土の含水比が小さく、残土処理が比較的かんたん |
地下水のない粘性土で、素掘り可能な場合は他の工法より適している
設備が比較的かんたんで済み、施工速度・工費の面で有利 |
デメリット | 厚い砂層では、ケーシングチューブの揺動、引抜きがむずかしい
被圧水位が地表面より高い場合は施工不可能 機械の重量が大きく、ケーシングチューブ引抜き時の反力が大きい。 ハンマグラブによる騒音や振動が発生 |
被圧水位が地表面より高かったり、伏流水のある場合は施工がむずかしい
ケリーバーの長さに限度があり、長い杭には不向き 廃泥土の処理がややむずかしい |
【オールケーシング工法】
オールケーシング掘削機の大きな特徴は、掘削孔全長にわたりケーシングチューブがあること
チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入または、回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこなう
オールケーシング工法の留意点や特徴
ケーシングチューブは二重管を使うことを原則とする
やむを得ず一重管を使う場合は、作業時の状況に十分耐えうる安全性と剛性を有するものをえらぶ
最初にセットするケーシングチューブ(ファーストチューブ)は、鉛直度を決める重要な要因となるので、短尺ものは使わないほうがよい
ケーシングチューブは、コンクリートの打ち込みにともない引き抜く
ケーシングで孔壁を保護するので崩壊のおそれはないが、玉石や大レキがあると押し込みが困難になる場合がある
地下水下に細砂層が厚く5m以上堆積していると、ケーシングが揺動作用によって水締めされて引き抜きが不能になる可能性が高い
機械が大型で、揺動のための反力が必要になるため、水上での作業には適さない
【アースドリル工法】
アースドリル掘削機の大きな特徴は、ドリリングバケットといわれる底開きのバケットを使うこと
ドリリングバケットの底に歯(金具)がついており、その歯を回転させて土をけずりとる
アースドリル工法の留意点や特徴
素掘りの可能な場合をのぞき、掘削孔には安定液(ベントナイト)などを使った泥水をはって、泥水圧で押さえ、孔壁にできるマッドケーキで保護する
地表から浅い部分の崩壊のおそれのある地層に対しては表層ケーシング(2~4m)を挿入する
機械の取り扱いがかんたんで掘削速度も速いが、孔壁の保護が安定液にたよるため、安定液の管理がかなり重要である
掘削が深くなると、バケットの上下距離が大きくなって能率が低下する
今回は以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。