建設現場や土木業界でよく聞かれる「土工(どこう)」
土工と土木の違いって何だろうと疑問に思う人もいると思います。
というわけでこの記事では、
土工について
- 土工とは?
- 土工と土木の違いは?
- 土工の仕事内容や役立つ資格
についてお届けします。
土工とは?土木との違いは何?
土工の定義
土工とは、主に「土(つち)」を扱う仕事です。
具体的な工事現場での作業はこちら!
メモ
- 地盤(土地)の掘削(くっさく)
- 盛土
- 構造物設置での床掘(とこぼり)・埋戻し(うめもどし)、締固め
- 土砂運搬
工事現場において、地盤の掘削や盛土、構造物設置での床掘・埋戻し・締固め、土砂運搬など、土に関する作業のことです。
またこれらの土工作業を行う作業員のことを指す場合もあります。
一方、「土」に関する作業以外にも、足場の組み立てやコンクリート打設なども仕事の関連として行うこともあります。
土工の種類
ポイント
土工は人力土工と機械土工の2種類に分けられる!
土工には、人力で行う人力土工と、機械による機械土工があります。
現場が狭く、機械が入らない場合は、人力による手作業により、土を掘削したり埋め戻したりします。
作業員として働く場合は、土砂掘削や運搬、資材運びなど、体力を必要とする作業が主になります。
体力仕事をいつまでも続けられるか不安…という方もいると思いますが、一般的には経験を積んで資格を取得すれば、工事全体のスケジュール管理や指示を行う現場監督として働くことも可能です。
一方、機械土工は、クレーンやパワーショベル、ブルドーザーなどの重機によって作業を行います。
機械土工の主な工事としては以下のとおりです。
機械土工
- 掘削工事
- 盛土工事
- 締固め工事
- 杭工事
- 削孔・穿孔工事
- 土留め工事
重機の操作には免許が必要なため、まずは人力土工として現場経験を積み、その後に機械土工として働くケースが一般的です。
土工と土木の違い
ポイント
土工と土木の違い
- 土木⇒さまざまな工事の作業全般。工事全体の作業
- 土工⇒主に土に関する作業のこと。土木工事の一部
土木とは、さまざまな工事の作業全般を指します。
土木工事と一言で言っても、工種によってさまざまな種類があるんですよ(^^♪
土木工事の種類
- 道路工事
- 河川・砂防工事
- 橋梁工事
- ダム工事
- トンネル工事
- 上下水道工事
- 海洋土木工事
- 鉄道工事
- 発電土木工事
- 農業土木工事
- 基礎・仮設工事(その他)
- 法面工事
一方で土工は、これらの土木工事のなかで、「土」に関する作業を指します。
例えば、道路工事で道路をつくる場合、まずは道路をつくる地盤を整えたり、その部分に盛土をしたりします。
これらの作業が「土工」になります。
土木工事にはたくさんの種類があることを説明しましたが、これらの土木工事のほとんどには「土工」作業が伴います。
土工は土木工事のなかの一部ですが、土木工事の基本のキとなる作業と言っても過言ではないでしょう。
土工の仕事・作業内容
土工の作業内容についてさらにくわしく見ていきましょう。
地山・土砂の掘削や埋戻し
地山や土砂の掘削とは、現場にある土を取り除く作業のことです。
作業はバックホウやパワーショベルなどの機械や人力などで行います。
掘削した後には、その部分に構造物を設置したり、トンネルをつくったりします。
掘削する際には、土砂崩落や地下埋設物に注意して作業を行わなければなりません。
土砂運搬
ダンプトラック
土砂運搬は、掘削などで出てきた土砂を運ぶ作業のことです。
基本的にはダンプトラックなどに積込み、運び出されるのが一般的です。
土砂搬出後は処分したり、土砂が必要な工事へ流用したりしています。
一方、土砂運搬は一般道路を通り運ぶことがほとんどなので、土砂がこぼれないようにシートでしっかり覆って運びましょう。
また、過積載にも注意してください。
法令違反になっちゃうので注意だよ
盛土
盛土とはその名のとおり、「土を盛る」作業です。
例えば、新しく家を建てるとしましょう(*'▽')
その際には地盤の高さを調整するため、盛土を行うことが多いです。
盛土を行う際には、後に地盤沈下や法面崩壊を起こさないように、しっかりと締固める必要があります。
盛土全体を均等に締固め、土質条件に合った締固め機械を選定しましょう。
土止め支保工
土止め支保工とは、掘削作業時に、土砂の崩落を防ぐために設置する仮設構造物のことです。
地下埋設物を設置する工事やトンネル工事など、土砂崩壊の恐れがある場合に設置されます。
土留め壁や支保工の種類はさまざまで、現場の状況によって選定しましょう。
【土止め支保工の種類】
土質や土圧、地下水位などから安全管理計画を立て、組み立て図により施工します。
その他
直接「土」に関係ない工事などでも、さまざまな作業において土工は密接に関係しています。
例えば足場を設置する仮設工事は主に鳶職人の仕事ですが、土木工事の現場では土工と鳶職人が協力することもしばしば。
ほとんどの工事は「土工」を伴うため、仮設工事やコンクリート、設置する構造物を設置する作業を、土工作業と連続して行うこともあります。
土工に関連する資格の紹介
土工に関連する資格をいくつか紹介します。
土工に関連する資格
- 地山の掘削・土止め支保工作業主任者
- 車両系建設機械運転技能講習
- 玉掛け技能講習
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者
地山の掘削および土止め支保工作業主任者は、労働安全衛生法に定められた国家資格です。
労働災害を防ぐため、地山の掘削や土止め支保工の作業などにおいて、現場の確認や安全の措置を行う責任者を指します。
仕事内容は主に地山の掘削や、土止め支保工の部材の設置や取り外し作業です。
資格取得の要件 | |
➀ | 満18歳以上であり、
地山の掘削や土止め支保工の作業に3年以上従事した経験があること |
② | 大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校で土木、建築、農業土木に関する学科を卒業しており、
その後2年以上地山の掘削や土止め支保工の作業に従事した経験があること |
車両系建設機械運転技能講習
土工の作業には車両系建設機械運転も必須となるスキルです。
また機体質量が3t以上の車両系建設機械(整地等)の運転作業に従事する方は、労働安全衛生法に基づく運転技能講習が義務づけられています。
現在保有している資格及び業務経験によって受けられる講習が異なりますので、詳しくはお近くの教習所などにお問い合わせください。
また講習を修了することで、トラクターショベルやブルドーザー、パワーショベル、バケット掘削機など、さまざまな建設機械を運転することができます。
ぜひ車両系建設機械運転技能講習に挑戦してみてください。
玉掛け技能講習
玉掛けとは、荷物を吊り上げるための荷物の準備からフックへかける作業、フックから取り外す作業までの一連の作業のこと。
そして玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1トン以上のクレーンで玉掛け作業を行う際に必要な資格を取得するための講習です。
重量のある荷物は怪我のリスクがあり、扱いが特殊で専門的な技術が求められるため、現場で重宝される資格です。
【受講条件】
- 18歳以上であれば、基本的に誰でも取得可能
- 運転免許いらない
- 現場作業経験者や他のクレーン等の免許を持っている場合は、受講科目を免除され、短時間で取得可能
まとめ
土工について、土木との違いや現場作業、おすすめな資格などについてお届けしました。
ほぼすべての土木工事における基礎を担う「土工」での技術や経験、知識があれば、どこの工事現場でも重宝される人材となるでしょう。