今回は【クーロン土圧】について解説していきます。(土圧理論や土圧公式)
併せてクーロン土圧とランキン土圧の違いについても見ていきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
クーロン土圧とランキン土圧の違い!主動土圧・受動土圧の公式や土圧理論
土圧の理論といえば、クーロンとランキンが二大巨頭みたいな感じですが、実はクーロン土圧の方がランキン土圧よりも古く、広く用いられています。
ランキンの理論と違う点は、土体の中の任意要素について応力の平衡状態を考えるのではなく、擁壁によって支えられる土の部分全体について、擁壁が少し移動した場合の力の平衡を考えたことです。
ランキンの土圧 | クーロンの土圧 |
土体の中の任意要素について応力の平衡状態を考える | 擁壁によって支えられる土の部分全体について、擁壁が少し移動した場合の力の平衡を考える |
以下の図解をみてください。
上記の図解は、クーロンの理論において、擁壁の下端Bから背面の土中に生じたすべり面BCと擁壁のとの間に挟まれるくさび形の土の部分ABCが、重力の作用によって下方に押し込まれるとき、擁壁に作用する圧力を求めようとするものです。(主動土圧)
一方、受動土圧は、擁壁の圧力によってくさび形ABCの部分が上方に抜け上がろうとするときの圧力を指しています。
そのほか、土質力学の公式はいろいろありますので併せて確認しておくと良いでしょう。
クーロン土圧理論➀主動土圧の土圧公式
主動土圧の場合(くさび形の土が下方に落ち込もうとする場合)、三角形の土の部分ABCに働く力は、三角形の土の自重Wと擁壁が土に及ぼす力Paおよびすべり面BCを介してその下側の土がABCのすべりに対して示す抵抗力Rの3力です。
このPaは、擁壁に作用する主動土圧の合力と大きさが同じで、方向が逆になります。
したがってPaを求めれば主動土圧の合力が求められるというわけですね。
PaおよびRは主動土圧の場合、ABCの土の下向きの移動に抵抗するため、それぞれの作用面に対して上向きに傾いています。
Rの傾角Φは内部摩擦角に等しく、Paの傾角δ(壁内摩擦角)は擁壁の種類によって異なりますが、内部摩擦角より小さい値をとると覚えておきましょう。
たとえば、任意に選んだすべり面BCと擁壁とで仕切られる土の部分を考えると、自重Wはその面積と単体重量との積で求められます。
Wの大きさと方向(鉛直下向き)、PaとRの方向が分かっているので、以下の図のようにPaは力の三角形の閉合から求められ、その値が最大値をとるようにすべり面の位置を定めればOKです。
このようにしてくさび形の土体ABCによって擁壁に及ぼされる主動土圧の合力Paを求めると、
δ:壁面摩擦角(Φ/3~2/3Φ)
θ:擁壁背面の傾斜角
となります。
クーロン土圧理論②受動土圧の土圧公式
受動土圧の場合も、擁壁背後の三角形の土体が、すべり面BCに沿ってすべると考えますが、この場合はくさび形の土体が上方に押し上げられるので、P₁およびRの傾きは以下の図のようになります。
このときはすべり面の位置をいろいろ変化させ、P₁が最小になるような位置を求めればOKです。
そして受動土圧の合力P₁は、
ここに
で求められます。
クーロン土圧とランキン土圧の違い!主動土圧・受動土圧の公式や土圧理論まとめ
【違い】ランキンの土圧は土体の中の任意要素について応力の平衡状態を考え、クーロン土圧は擁壁によって支えられる土の部分全体について、擁壁が少し移動した場合の力の平衡を考える
ランキンの土圧 | クーロンの土圧 |
土体の中の任意要素について応力の平衡状態を考える | 擁壁によって支えられる土の部分全体について、擁壁が少し移動した場合の力の平衡を考える |
クーロン土圧もランキン土圧も、三角形分布をなしており、その合力の作用位置は擁壁の下端からH/3の位置です。
しかし、作用方向は主動土圧と受動土圧で異なることに注意しなければなりません。
さらにクーロン土圧では、擁壁の背面のひとつのすべり面となるので背面は平面でなければなりません。
したがって、逆T型擁壁のような場合には以下の図のような仮想背面を考える形です。
上記2種類の仮想背面がありますが、どちらを用いても大丈夫です。
仮想背面を考える場合には背面も土であるから壁面摩擦角δはΦとなります。
主動土圧の合力Pa
受動土圧の合力P₁
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信中!