令和3年・問題A No6~No.10
No.6
コンクリート用粗骨材に関する次の記述のうち, 適当でないものはどれか。
- 砕石を用いた場合は, ワーカビリティーの良好なコンクリートを得るためには,砂利を用いた場合と比べて単位水量を小さくする必要がある。
- コンクリートの耐火性は,骨材の岩質による影響が大きく, 石灰岩は耐火性に劣り, 安山岩等の火山岩系のものは耐火性に優れる。
- 舗装コンクリートに用いる粗骨材の品質を評価する試験方法として, ロサンゼルス試験機による粗骨材のすりへり試験がある。
- 再生粗骨材Mの耐凍害性を評価する試験方法として, 再生粗骨材Mの凍結融解試験方法がある。
解答1
1.砕石は、角ばりや表面の粗さの程度が大きいので,ワーカビリティーの良好なコンクリ ートを得るためには, 砂利を用いる場合に比べて単位水量を多くする必要がある。 特に偏平なものや細長い形状のものはこのような影響が大きくなる。
2.コンクリートの耐火性は, 骨材の岩質による影響が大きく, 花こう岩, 石灰岩や石英質砂岩は耐火性に劣り、安山岩等 の火山岩系のものや高炉スラグ粗骨材は耐火性に優れる。
3.ロサンゼルス試験機による粗骨材のすりへり試験方法はJIS A 1121 に規定されており、粗骨材のすりへり抵抗性は「すりへり減量」で表され, 判定基準は35%以下である。
4.再生粗骨材Mの凍結融解抵抗性は, 再生骨材の凍結融解作用による粗粒率の変化である 「FM凍害指数」 (JIS A 5022附属書D 「再生粗骨材Mの凍結融解試験方法」) で表される。
No.7
No. 7混和材を用いたコンクリートの特徴に関する次の記述のうち, 適当なものはどれか。
- 普通ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末で置換すると, コンクリートの湿潤養生期間を短くすることができ, アルカリシリカ反応の抑制効果が期待できる。
- 普通ポルトランドセメントの一部を良質のフライアッシュで置換すると, 単位水量を大きくする必要があるが, 長期強度の増進が期待できる。
- 膨張材を適切に用いると, コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮等に起因するひび割れの発生を低減できる。
- シリカフュームを適切に用いると, 単位水量を減少させることができ, AE減水剤の使 用量を減らすことができる。
解答3
1.高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートは, 化学抵抗性の改善, アルカリシリカ反応の抑制,長期強度の増進等, 優れた効果をもたらすが, 養生温度及び湿潤養生の期間を充分に取らないと所定の強度が得られないだけでなく, 硬化体組織が粗となり, 中性化速度の増加 やひび割れ抵抗性が低下するなどのおそれがある。
2.フライアッシュは, ワーカビリティーの改善, 単位水量の減少,水和熱による温度上昇の低減, 長期強度の増進, 乾燥収縮の低 減, 水密性や化学的侵食に対する抵抗性の改善, アルカリシリカ反応の抑制等, 優れた効果が期待できる。
3.記述のとおり
4.シリカフュームを適切に用いると, 材料分離やブリーディングの抑制, 強度の増加, 水密性や化学抵抗性の向上が期待できるが,その一方で、単位水量が増加して乾燥収縮の増加等につながることや, 使用にあたっては, 高性能AE減水剤や高性能減水剤を併用するなどの配慮が必要である。
No. 8
コンクリートの打込みに関する次の記述のうち, 適当でないものはどれか。
- コンクリートの打込み時にシュートを用いる場合は, 縦シュートを標準とする。
- スラブのコンクリートが壁, 又は柱のコンクリートと連続している場合には,壁,又は 柱のコンクリートの沈下がほぼ終了してからスラブのコンクリートを打ち込むことを標準 とする。
- コールドジョイントの発生を防ぐための許容打重ね時間間隔は,外気温が高いほど長く なる。
- 1回の打込み面積が大きく許容打重ね時間間隔の確保が困難な場合には,階段状にコンクリートを打ち込むことが有効である。
解答3
1.コンクリート打込み時に斜めシュートを用いると材料分離を起こしやすいため, 縦シュートを標準とする。
2.スラブのコンクリートが壁, 又は柱のコンクリートと連続している構造物等では,断面の異なるそれぞれの部分でコンクリートに生ずる沈下の程度に差異があるため,一度にコンクリートを打ち込むと断面の変わる境界面にひび割れが発生することが 多い。
3.許容打重ね時間間隔は, 外気温が25°C以下のときは2.5時間以内, 25°Cを超え るときは2時間以内が標準であり, 外気温が高いほど短くなる。
4.1回の打込み面積が大 きい場合や夏季において許容打重ね時間間隔の確保が困難な場合には, コールドジョイント の発生のリスクを低減するため, ダムコンクリートで一般的に行われている階段状にコンク リートを打ち込む 「たわら打ち」 が有効である。
No. 9
コンクリートの配合に関する次の記述のうち, 適当でないものはどれか。
- 水セメント比は,コンクリートに要求される強度, 耐久性及び水密性等を考慮して,こ れらから定まる水セメント比のうちで、最も大きい値を設定する。
- 単位水量が大きくなると, 材料分離抵抗性が低下するとともに, 乾燥収縮が増加する等コンクリートの品質が低下する。
- スランプは, 運搬, 打込み, 締固め等の作業に適する範囲内で,できるだけ小さくなる ように設定する。
- 空気量が増すとコンクリートの強度は小さくなる傾向にあり, コンクリートの品質に影響することがある。
解答1
1.水セメント比は, 65%以下で, コンクリートに要求される強度, 耐久性及び水密性等を 考慮して,これらから定まる水セメント比のうちで最も小さい値を設定する。
2.単位水量の上限は175kg/mを標準とし, 作業が出来る範囲内でできるだけ小さくする。
3.記述のとおり
4.空気量は,練上がり時においてコンクリート容積の4~7%程度が一般 的であり, 気象作用が激しくなく凍結融解作用を受けない場合には、過度に多くしない。
No. 10
鉄筋の組立て・継手に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
- 鉄筋を組み立ててから長時間経過した場合には、コンクリートを打ち込む前に、付着を 害するおそれのある浮き錆等を取り除かなければならない。
- エポキシ樹脂塗装鉄筋は,腐食が生じにくいため, 加工及び組立てで損傷が生じても補修を行わなくてよい。
- 重ね継手における重ね合わせ長さは、鉄筋径が大きい場合は,鉄筋径が小さい場合より長い。
- 型枠に接するスペーサは,本体コンクリートと同等程度以上の品質を有するモルタル製あるいはコンクリート製とすることを原則とする。
解答2
1.
2.エポキシ樹脂塗装鉄筋の塗膜は,曲げ加工及び組立て時に傷つきやすいため, 塗膜に損傷を与えないように、適切な方法で実施する。なお、損傷部分はタッチアップ補修を行う。
3.重ね継手の重ね合わせ長さは, 鉄筋直径の20倍以上とすることから,鉄筋径が大きいと重ね合わせ長さは長くなる。
4.記述のとおり
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