こんにちは、元公務員のちゃんさとです。
今回は公務員の早期退職について解説していきます。
公務員の早期退職者募集制度は、2013年11月1日から適用され、早期退職をする方は年々増加傾向にあります。
しかし、まだまだ早期退職に対する不安や疑問はたくさんあるようです。

こんなお悩みを解決します。
この記事を書いている人

- 元地方公務員(土木職)の主婦ブロガーです。
- 某県庁の公務員土木職で7年間勤めた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 現在は、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事などをメインにブログでさまざまな情報発信をしています。
それではさっそく参りましょう。ラインナップはこちら!
公務員の早期退職者募集制度とは?(早期退職の割増し制度あり)
公務員の早期退職者募集制度とは、会社側が早期退職者の募集人数や年齢等の応募条件を定めて、定年前に退職する意思をもつ職員を募集する制度のことです。
早期退職したい人~手あげて~!

といった感じで本人が応募します。
今までは、会社側からの労働契約解除の申し入れる勧奨退職(通称:肩たたき)や自己都合退職しかありませんでした。
また、内閣人事局のHPでは、早期退職者制度についての目的を以下のように述べています。
職員の年齢別構成の適正化を通じた組織活力の維持等を目的として、45歳以上(定年が60歳の場合)の職員を対象に、透明性の確保された早期退職募集制度を創設。
引用:内閣人事局国家公務員制度https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/
要するに、人員削減です。
管理職になるような年代が増えてしまい、人員のバランスが取れなくなっています。
また、仕事も機械やAIがどんどん参入してくる時代…。
パソコンがなかった世代からすれば、目まぐるしすぎる時代の変化でしょう。
公務員の早期退職者制度が適用されるのはどんな人?(退職金の割増し)
早期退職者制度が適用されるのはこんな人です。
- 勤続年数20年以上
- 定年前15年以内
2022年度から、国家公務員の定年は60歳から65歳へと延びるでしょう。
これに準じて、地方公務員も同じく定年は65歳になるはずです。
- 定年60歳なら45歳
- 定年65歳なら50歳
の適用となり、さらに勤続年数が20年以上という条件も加わります。
勤続年数とは、職員として働いた在職期間のことです。
自治体にもよりますが、休職、停職、育児休業などの期間は、期間の1/2が除算され、育児休業で、子供が1歳になるまでの期間は1/3が除算されます。
例1)1年間の休職の場合…勤続年数は約120日(1ヵ月20日×12か月=240日÷2=120日)
例2)1年間の育児休業の場合…勤続年数としては約80日(1ヵ月20日×12か月=240日÷3=80日)
これらの条件をクリアすると、退職金割増し制度が適用されます。
公務員退職金割増制度★早期退職と自己都合退職での退職金には800万円以上の差が!
早期退職制度では、早期退職者に対する退職金手当が多くもらえる割増し制度があります。
割増しは、定年までの残りの年数1年あたり3%の割増が適用されますよ。
45歳で早期退職するとなると、15年(定年までの年数)×3%=45%の割増しとなるわけです。
例として、45歳(勤続年数23年)で早期退職したとすると、定年退職と同じく扱われるため、退職金の支給率は月額給料×31月分にもなります。
さらにこの金額に対し、最大で15年×3%=45%が加算されるので、給与月額を40万円とすると、
40万円×31月×1.45(45%UP)=約1,800万円にもなります。
自主退職の場合は、逆に「勤続20年以上かつ15年以内の退職」の条件を満たさない必要があるので、
先の例と一番近い金額で比較しようとすれば、
大卒22歳で入庁し、44歳(勤続年数満22年)で自己都合退職した場合の退職金支給月数は24.6月となります。
40万円×24.6月=約984万円
大卒22歳で入庁45歳(勤続年数満23年)で早期退職募集制度を利用した場合の退職金は約1,800万円
大卒22歳で入庁44歳(勤続年数満22年)で自己都合退職した場合の退職金は「約984万円」
差額 1,800万円-984万円=816万円
たった1年の差だけで、約816万円も退職金がちがうのです。
800万円多くもらうか、少しでも早く労働のストレスから解放されるか…
むずかしいところですが、退職についてはよく考えたうえで検討してみてください。
また、公務員退職金の支給率については、別の記事でくわしく書いていますのでそちらをご覧ください。
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公務員の退職金💴計算方法★早見表で元公務員が徹底解説!
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公務員を早期退職したあとの年金・保険・税金について
早期退職をすると決めたものの、早期退職をして本当に大丈夫だろうかと不安になることがあるでしょう。
多くのみなさんが抱える、早期退職をした後の不安や疑問はこちらです。
早期退職するときの不安や疑問
- 年金はどうなるの?
- 健康保険はどうなるの?
- 支払わなければならない税金とは?

年金はどうなるの?
会社をやめると、厚生年金から国民年金に変更し年金を支払わなければなりません。
お住まいの役所に確認しましょう!
また扶養に入る方は、扶養に入れてもらう方の会社で手続きを進めてもらいましょう。
年金は支払う人によって3種類の区分があります。
- 第1号:国民年金:会社員ではない全ての人
- 第2号:厚生年金:会社員の人
- 第3号:第2号の扶養となる人
第3号の扶養に入る方は、年金を支払う義務は免除になっています。
また、年金にも2種類あり、国民年金(基礎年金)と厚生年金です。
会社員だと国民年金と厚生年金の2つとも支払っていて、自営業やフリーランスのような個人の方は国民年金だけです。
当然ながら将来的にもらえる年金金額は税金を多く支払っている会社員の方が多くなります。
健康保険はどうなるの?
健康保険には2種類あって、公務員や会社員が入る「社会保険」と、自営業の人が入る「国民健康保険」です。
公務員だと「共済組合」と書かれていますね。
会社をやめると、自動的に「社会保険」から脱退しますので、自分で「国民健康保険」に加入する必要があります。
会社に勤めている間は、会社が50%負担していましたが、退職後は全額自己負担となります。
だいたい、今払っている金額の倍を毎月支払うことになるでしょう。
国民健康保険の料金は、前年の年収から計算されるため、退職後に収入が0円になっても払わないといけません。
また奥さんや子供の扶養家族が多いほど、国民健康保険の料金は上がりますのでご注意を!
支払わなければならない税金とは?
退職にともなって支払わなければならない税金は主に2つで、所得税と住民税があります。
退職金における税金や計算方法については次の章でくわしく説明します。
公務員の退職金における税金や計算方法について

所得税
所得税は1年間の総所得(年収)から計算して年度末までに支払います。(確定申告)
会社員の場合は、所得税を分割して毎月会社が支払ってくれています。
こういう手続きを会社がやってくれるのは、会社員の良いところですよね~。
1年間の総支給額が決まっていない状態で、会社が大まかに支払っているため、だいたい払い過ぎています。
この払い過ぎを返還してくれるのが、年末調整です。
退職した場合、退職までの所得税は支払っています。
よって退職後は基本的に収入が0円ですので、所得税はかかりません。
収入が発生した段階から12月までの総収入で、年度末に確定申告をすることになります。
住民税
住民税は、前年1月~12月の総所得から計算され、翌年6月から翌々年の5月で税金を納める形となります。
住民税は前年の所得に対して翌年に支払いが発生します。
住民税通知書は、早期退職すると一ヶ月ほどで役所から届きますよ。
その年の未支払い分の請求です。
数回に分けて支払うか、一括で支払うかの選択肢があります。
退職時に一括でその年の住民税を支払うこともできます。
結局あとから払いますので、できるなら退職するときに一括払いを会社に依頼した方が良いですね。
6月くらいに通知書が届きますよ 🙂
例えば、年収580万円であれば約30万円となります。

金額は、都道府県でもちがいますし、控除できる内容も個人でちがいますので参考程度と考えてください。
退職金にかかる税金
退職金にも税金がかかります。
しかも所得税と住民税の2つ払う必要があります。
退職金にかかる税金の計算式はこちらです。
(退職金ー退職金所得控除)×1/2×税率
まずは退職所得の控除について見ていきましょう。
勤続年数 | 退職所得控除の計算式 |
20年まで | 勤続年数×40万円(80万円の場合は80万円) |
20年超 | 800万円+(20年以降の勤続年数×70万円) |
例えば、勤続年数30年で退職金が2000万円の場合、
800万円+(10年×70万円)=1500万円が非課税となります!
次に税率の部分を見ていきましょう。
はじめに話したとおり、退職金にかかる税金は2種類あります。
- 所得税
- 住民税
所得税の税率一覧はこちらです。
退職所得金額 | 所得税率(%) | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5 | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10 | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20 | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23 | 636,000円 |
900万円超~1800万円以下 | 33 | 1,536,000円 |
1800万円超~4000万円以下 | 40 | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45 | 4,796,000円 |
勤続年数30年で退職金が2000万円の場合で考えてみると、
(退職金ー退職金所得控除)×1/2×税率
(2,000万円ー1500万円)×1/2=250万円←退職所得となります。
250万円を所得税の表に当てはめてみると、
(250万円×10%ー97,500円)×1.021%=所得税15万5,702円となり、この金額を所得税として支払うことになります。
さらに現在は復興特別所得税1.021%もかかります。
次に住民税です。
住民税には2種類あり、
都道府県民税4%+市区町村民税6%=計10%
となります。
よって退職金の式に当てはめてみると、
(退職金ー退職金所得控除)×1/2×税率
勤続年数30年で退職金が2000万円の場合、
(2,000万円ー1500万円)×1/2×10%=25万円となり、住民税として支払わなければならないのは25万円であることが分かります。
よって勤続年数30年で退職金が2000万円の人が支払わなければならない税金の総金額は
所得税15万5,702円+住民税25万円=40万5,702円
となります。
やはり税金は高いですね。
早期退職後に転職を考えているのであれば、とりあえず転職サイトに登録しておきましょう。(ゆっくりしたいならやめときましょう(笑))
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まとめ
今回は以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。