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mitigation(ミティゲーション)の意味★環境への影響緩和

mitigation(ミティゲーション)

mitigation(ミティゲーション)は直訳すると「緩和」ですが、環境工学や生態系などの分野で使用される専門用語でもあります。

今回は環境工学の視点から、mitigation(ミティゲーション)について掘り下げていきましょう。

 

mitigation(ミティゲーション)の意味と定義(環境工学)

〈干潟(ひがた)〉

干潟

mitigation(ミティゲーション)とは、干潟や沼地を埋め立てるなどの開発行為によって発生する環境への影響を緩和したり、補償したりする行為のことです。

日本では、生態系のもつ機能を他の場所で代償する行為を指すことが多いです。

一方でアメリカでは、湿地を守るためにmitigation(ミティゲーション)が盛んに行われ、事業自体の見直しや規模の縮小も含まれます。

 

mitigation(ミティゲーション)の5段階

森林開拓(開発事業)

mitigation(ミティゲーション)には次の5段階があるとされています。

mitigation★5段階

  1. 回避
  2. 最小化
  3. 修正・修復
  4. 軽減
  5. 代償

内容はこんな感じ 🙂

5段階★mitigation(ミティゲーション) 内容
①回避 ある行為をしないことで影響を避ける
②最小化 ある行為とその実施に当たり規模や程度を制限して影響を最小化
③修正・修復 影響を受ける環境の修復、回復、復元により影響を矯正
④軽減 ある行為の実施期間中、繰り返しの保護やメンテナンスで影響を軽減または除去
⑤代償 代替資源や環境を置き換えて提供して影響の代償措置を行う

上記の段階は、その順に検討されることが望ましいとされ、アメリカではノーネットロス原則を前提として行われます。

一方、日本では本来的意味合いから離れ、代償ミティゲーション段階のみがミティゲーションであると捉えられることも少なくありません。

また、より簡略化して「回避、低減、代償」の3段階とみなすこともあります。

 

mitigation(ミティゲーション)を検討した事業管理

mitigation(ミティゲーション)を検討した事業管理では、PDCA サイクルを活用できるでしょう。

PDCA サイクルは管理マネジメントにおける考え方のひとつで、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つで構成されています。

PDCA

施工だけではなく、①計画段階②設計段階③施工段階④維持管理段階でPDCAの過程をくり返しながら、事業全体を進めていきます。

一方で、環境への影響を、継続的・定期的に調査して監視することを「モニタリング」と言い、モニタリング結果に合わせて対応を変える順応的管理(フィードバック管理)を行います。

生態系の再生や回復は、極めて困難で不確実なことが多く、モニタリングによって確認し柔軟に対応することが可能です。

その際には、施設周辺の住民・NPO・学識経験者などの活動団体と協働して、より良い環境配慮対策に取り組むことが望ましいでしょう。

 

①計画段階

保全方針として、環境保全措置の対象を選定し、どの程度保全するかといった環境保全措置の目標を設定します。

  1. ミティゲーション対象の重要度
  2. 影響の内容・程度
  3. 保全技術の実行可能性

などを踏まえ、その効果が定量的にモニタリングできるような目標にすることが大切です。

この保全方針を踏まえて、環境保全措置の具体的な内容・実施時期・実施範囲などを検討します。

また開発事業の概略設計などを行う段階で、計画変更になる立地・配置などを「回避」する措置について、事業計画の早い段階で検討する必要が出てきます。

この時点で施設周辺の住民・NPO・学識経験者などの活動団体と協働する場合もあるよ

 

②設計段階

設計段階では、計画段階で選定した環境保全措置を具体的に検討し、施工計画に反映させましょう。

技術的に確立されていない環境保全措置を採用する場合、専門家の助言・指導のもと、より慎重に事業を進めることが必要です。

新たに貴重な自然環境の存在が確認された場合、状況に応じて地域特性の把握を追加し、環境保全措置の保全方針を見直してください。

 

③施工段階

施工段階では、設計段階で作成した環境配慮設計に基づいて、事業(工事)を行います。

生態系は多くの不確実性要素を伴うことから、計画・設計段階では想定していなかった事態が発生することがあります。

それらを認識し、環境保全措置・環境配慮設計の修正など、柔軟な対応が必要です。

さらに施工業者に事前に環境配慮措置や概要を説明し、環境配慮設計の意図を十分に理解させましょう。

現場作業員も含めた工事関係者全員がミティゲーションについて取り組むことが大切です。

 

④維持管理段階

維持管理では、環境保全措置の目標の達成状況を確認するとともに、環境配慮設計の妥当性の評価を行うのが一般的です。

評価結果は、施設周辺の住民やNPO 等の活動団体などで共有するだけではなく、開発部局・関係各所で共有し、今後の環境保全措置に活用されます。

ただし希少種などのデータ取り扱いには注意してください。

乱獲などの恐れがありますので、情報をどこまで発信するかは慎重に検討しましょう。

 

以上です。

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ありがとうございました。

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
  • ブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信
  • ココナラで土木施工管理技士★経験記述の添削サービス実施中です
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