今回のテーマは【ダム工事】
工事の流れやダム管理の今後についてまとめましたのでぜひご確認ください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
ダム工事の流れ(新設)や修繕工事
ダムを新しく作る場合、事業の計画から管理までの流れは以下のとおりです。
①予備調査 | 基礎資料の収集分析 |
ダム規模の設定 | |
基本事項の検討・評価 | |
②実施計画調査 | 現地調査(水文、地形地質、環境、補償) |
設計条件の確認 | |
概略設計 | |
③建設 | 実施設計 |
施工計画書の作成 | |
用地交渉(補償交渉、買収) | |
④工事 | 工事用道路や付替道路の設置 |
仮設備や河川の転流工(下流の水が枯れないように措置) | |
ダム設置部の掘削および成形 | |
ダム本体打設(コンクリートまたは岩石など) | |
管理設備の設置 | |
試験湛水(機械の動作および流量等の確認) | |
ダムの完成 | |
⑤維持管理 | 洪水調整や農業用水への供給
点検およびパトロール、修繕工事の実施 |
近年は、ダムをつくる適切な場所が減少している一方で、治水・利水の必要性は依然として高まっています。
ただ財政的にも、新規ダムをつくることは現実的にむずかしいのが現状です。
このような状況の中、治水あるいは利水機能を増強するために、既設ダムの再開発による有効活用が増えているといえるでしょう。
すでに存在する既設ダムの再開発は、
- 貯水池容量を増大させる方法(ダムの嵩上げ、貯水池内の掘削など)
- 現行の貯水池の運用を変更する方法(取水設備、放流設備等の新設・改造による運用変更)
- 既設ダムの長寿命化(既設機械のメンテナンスや本体の補修)
の 3つの方式に大別されます。
また建設時から40年ほどを迎えるダムも増えてきており、修繕工事が増えているのが現状です。
修繕工事ではコンクリート部のひび割れ補修や、ゲートの塗装、機械設備の点検・交換が行われます。
一方で、ダムという特殊な現場環境により、工事ができる業者も少なくなっており、既存の歩掛や基準書などでは対応しきれません。
私が実際にダムゲートの塗装工事に携わったときも、歩掛や基準書では対応できず、見積をとり工事を実施しました。
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【懸念】ダム管理の人員不足とダム工事の専門知識
ダム管理はかなり特殊なお仕事です。
専門知識や経験値からの業務が多く、数年ではなかなか習得できないこともあるでしょう。
3~4年で異動する国や県の土木公務員の方々の苦労が計り知れません…。
実際に私もダム管理をするうえで、正直かなり大変でした(;'∀')
ダム初心者だとしても、毎年やってくる台風や洪水は待ってくれません。
知識を叩き込み、必死で洪水調整をしていました。
またダムにくわしい人も年々高齢化し、技術の伝承を早急に行う必要があります。
長年ダム管理に携わった方々から管理方法や今までの経験などを再確認し、できるだけマニュアル化していくことが求められています。
さらに近年の異常気象は、雨量も増えており、ダム建設時の設計では耐えられないものもあるでしょう。
国としても、雨量予測システムの構築や基準水位の見直しなどが行われています。
今後は施設の老朽化にくわえ、管理できる人が不足することをふまえながら、ダム管理方法の見直しや若手への教育、ダム工事を進めていくことが大切です。
【期待】AI参入などによるダム管理および工事の負担減
今後のダム工事および管理における懸念については、AI参入などにより解消されることを期待しています。
ダム管理を実際に経験してみて、今のところすべてを機械に任せることはできないと感じます。
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しかし、AIなどによる流量の一部調整や点検、工事の負担減は、近い将来実現できる施策です。
人間と機械のハイブリット化を進め、今後のダム工事および管理が適切に行われることにより、人員不足の問題を解消しダム管理者の負担を減らしながらも、ダム下流域の安全や活性化(利水)につながることを切に願います。
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人

- 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 現場監督・施工管理の経験あり(ダムの維持管理も経験)
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
- ブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信
- 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!